本音ってどこにあるの?
「ついカッとなって」「口が滑って」「あの時はどうかしていて」というように、あとで「しまった」と思うような、ばつの悪い思いをしたことはありませんか? そこで、今回は「本音」について考えてみましょう。
例えば、酔った時にはアルコールの作用によって、大脳皮質の働きが抑制されます。そのために脳の中の本能的な部分の活動が表面に出やすくなります。そして、酔っていない時に抑制されている感情や欲求が表に出てきます。
酔ってからむ人、やたら陽気になる人、泣き上戸の人などは、そういう感情や欲求を内面に持っている人です。酔うことによって、その人の持っている心の傾向が明らかになります。そのときの言動は、確かにその人の本音の 1つなのです。
また、「雰囲気でつい」「相手があんまり聞き上手だから」ということもありますね。人間は相手や雰囲気によって、かたくもなりやわらかくもなります。家族の前では甘えが出たり、ライバルの前では意地を張ったり、会議の場では理性的であったりと、人間はいろいろな顔を持っています。
そして、それぞれの場面で甘えた心、わがままな気持ち、理性的な心などが自分の中にあります。どの顔も心も、あなたには違いありません。いろいろな気持ち、態度をもって生きているのが人間です。
こう考えてみると、その時々の本音があるように思えませんか? いくつもの本音があると考えてみてはいかがでしょうか? ほとんどの人が、状況や場面で考えや態度が違ってきます。「どれが本音か」と悩むより、「その状況ではそういう気持ちが自分の本音だったのだ」と理解してみましょう。きっと、自分のいろいろな性格の側面が理解できるようになるでしょう。
今日から、自分の気持ちや態度がどういう場面でどう変わっていくかを観察してみてはいかがでしょうか。よくわからないときには身近な人に聞いてみるのもよいでしょう。その時々の自分の本音が浮かび上がってくると思います。
そして、自分のたくさんの本音に気づけるようになると、「あれは本音だったのだろうか?」と悩むこともなくなり、その時々の自分と向き合えるようになります。さらに、この視点を人に対しても向けてみると、「あのときああ言ったじゃないか!」ではなく、「そのときのあなたはそう感じていたんだよね」と、受け入れることができるようになるでしょう。