バージョンアップしないからだのシステム
みなさんソフトウエアのバージョンアップ、していますよね。バージョンが新しくなるたびに使いやすくなり、問題点も改善されてきています。
生物も地球環境の変化や生態系によって少しずつ進化していきます。
でも、生物の進化はゆっくりです。ソフトウエアのように、毎年のようにバージョンアップしてくれません。
われわれのからだは紀元前からほとんど基本的な構造は変わらないままなのに、文化や道具はどんどん進化して、生活はめまぐるしく変化してきています。食べ物が豊富になった現代では厄介者扱いされる「体脂肪」も、何日も食料にありつけないことが当たり前だった昔の人間を飢えから守ってくれていました。本来は人間の飢餓状態に備える適応的なからだのシステムが、現代生活スタイルにあわなくなっているのです。
ストレスについて考えてみましょう。大昔の人間にとっての怒りや恐怖の場面は野獣におそわれるストレスだったり、他の部族との戦いであったりしました。
つまり、その不安や恐怖、怒りなどの次には自律神経が反応して筋肉運動を伴うアクションがセットになっていました。学問的にも「闘争か逃走かの反応」といわれる心身の反応です。
現代では、人間の活動も社会的なものや理性的な活動が多くなってきていますから、ストレスの内容も精神的なものや社会的なものであることが増えてきました。「仕事に追われている」とは言いますが、オオカミに追いかけられているわけではないのですから、「走って逃げる」という行動で解決するわけにはいきませんね。そのような現代でも、からだは走って逃げるに適した反応をします。
つまり、ストレスを感じると、筋肉に酸素を送り込むために心拍数や呼吸数が上がって、相手や周りをしっかり見るために瞳孔が開いて・・・というからだの反応を起こします。それは、肉体的な危機状態に対しては実に適応的に働くシステムですが、仕事に追われてデスクに向かっている人にとっては、ただ落ち着かなく、エネルギーばかり失うということになってしまいます。からだのシステムの進化は社会の進化に追いついていないのです。
さて、ストレス解消のヒントです。
バージョンアップしてくれないからだの反応を利用したストレス軽減の方法があります。不安やイライラがはじまったら、少し手を休めて軽い筋肉運動をしてみましょう。大昔から備わっている我々のからだのシステムにあった対応をしてみるのです。
ウォーキングやジョギングなどがいいかもしれません。ちょっとした不安やイライラなら、スッキリと軽減されます。ストレス対策のメニューのひとつに加えてみてください。